
黒沢川橋から1.2km上った大堰堤下の湿地帯。スンジョンの足元の緑は全てクレソン。
堰堤は右岸のはしごを登ったが、腐食していて途中でバキバキと崩れて折れた。左岸に移りプールを大きく巻いて流れ込みに到達。

クリンソウ
しばらくは草原の花畑の中を流れるチョークストリーム。

チョークストリームが終わり渓流らしさが甦ってきた途端、頻繁に当りが出始めた。

スンジョンに先行させたが28cmクラスを足元でバラし、尺のアタックに合わせ切れ。逃げた魚の型の良さに驚くばかり。


曇り空がなお薄暗くなりでそろそろ退散しようと思ったが、スンジョンが「まだ4時頃じゃあないの?」と言うので暫く釣り続けたが、やはり本日の終焉を確信して上流の二股を目指した。
堰堤から2kmだが途中から道路へ上がる事にした。だが張り巡らせた4本のワイヤー線?が先を塞いでいる。スンジョンが「電線かも知れない」と言ったが、「違うだろ」と手で開こうと思って掴んだ途端!「ドッコン!!」と衝撃が走った。もの凄い電流だ。川に戻っては又登ろうと試みるが電線はどこまでも延々と続き、最後は釣り人が無理やりこじ開けた電線の間を恐る恐るくぐり抜けて道路へ出た。時は8時を過ぎていた。
灯も無く真っ暗な道路をひたすら歩き始めたが、「パーン!」と言う乾いた銃声が何度も響く。間違えて打たれたらかなわないと思い熊よけの鈴を鳴らしながら歩いた。禁猟期でも有り夜間はなおさら発砲禁止のはずなのに、それでも打ち続ける行為に寒気がした。もしかしたら単なる爆竹かも知れないが知る由もない。
こんな難しい釣り場だからイワナは大物が期待出来るが、堰堤まで茶色く濁った川を歩いて行く気力と、電線で塞がれた帰路や発砲の音が鳴り響く道路を思い出すと、効率の良い入退渓を考えないと難しい釣り場だ。
楽しいはずの釣りが苦しい釣りになってしまうのは常だけれど、今回は滅多に経験出来ない思い出になり話のネタになったと思い込む、懲りない徳であった。