こちらも2006年度の記事ですが、昔の静岡県富士宮の芝川様子をレポートいたします。
参考程度に見ていただければと思います。
前年の秋に芝川に来た時、水は清く、ヤマメも濃く、久々の好釣り場を見つけたと喜んだ。
しかも、音止ノ滝下流の本流で、徳一号が40㎝級の大ヤマメのライズを、2ヶ所で見てしまい、今回も胸ときめかせてやって来た。
だが、私は再び訪れて見た芝川に、いささか幻滅していた。
田貫湖への橋が架かる本流付近は、渓相は良いものの底にドロがたまり、お世辞にも清冽とは言えない流れである。
足形橋下流に至っては、取水された流れにポイントも少なく、ゴミだらけで、こんなはずでは・・・と残念でたまらない。
どうやらしばらく大雨が降っていないせいと、区間によって、綺麗な流れの所とそうではない所があるようだ。
この日、徳一号は好調で、小沢でヤマメの入れ食いを堪能し、足形橋下流の本流でもヤマメを釣り上げた。
私は、すぐ上の好ポイントがオンパレードの足形橋付近で、本日のラストを向かえる事にした。
橋下の瀬で速いアタリが有り、2度目のアタックでヤマメをフッキングしたが、23㎝程度のヤマメなのに抵抗するのですぐにスレだと分かった。
案の定、白い腹にフッキングしていた。
本日同行している、ぺー君とチョー君も集まり、3人で橋上の大淵を狙うことにした。
大岩の上で釣り支度をしていると、いきなり大きな波紋を発見!よく見ると、あちこちでヤマメが泳いでいる。
まるで水族館のようだ。
大小3尾のヤマメが、お互いの尾を追うように一列になってクルージングしているかと思えば、水面に浸かっている木の枝の横で、波紋を起こす奴もいる。
小さなヤマメもエサを追って、右往左往している。
息を押し殺して、絡まった仕掛をゆっくりと直そうとするが、最近老眼が始まったせいで、一向にはかどらない。
せっかくのチャンスを逃してはならないので、ぺー君にライズのあるポイントを譲った。
その時である。
対岸道路下の一枚岩に囲まれた、湯船のようなポイントで、バシャバシャッ!と派手な炸裂音が聞こえ、その上の道路で覗いていたチョー君が「先生、こいつらケンカしてますよ!」と叫んだ。
それはまさに、闘犬が地面を転がりながら噛み付き合う姿そっくりで、どう猛な顔をした尺は優に越す2尾の大ヤマメが、今にも岸に上がって来そうな勢いだ。
3人の人間に囲まれていることなど、眼中に無さそうだ。
先程の列をなしたクルージングと言い、目の前で起きているけたたましいライズと言い、ペアリングと思わせるものがあるが、今は4月上旬、産卵期なわけが無い。
パニックになりそうな心を落ち着かせ、シバキ合う大ヤマメのライズを見つめていると、昼間から大量にハッチしている#18の黒いカディスを奪い合っているのだと言う事が、やっと理解出来た。
木の枝の横の波紋を狙っていたペー君が、「釣れた!」と声を上げたので振り向くと、28㎝のヤマメをごぼう抜きにしたところ。
カディスにドラグがかかってしまったら、とたんに銜えたそうだ。
チョー君も、大ヤマメのライズが止んだ後も水面にフライをを落とし粘っていたが、スーッと寄ってきてはユータンされることの繰り返しだったそうだ。
この足形橋付近は、夏はブヨが多いので、釣りは不可能だと思う。